日本のギターコンクール史上初 スペイン人優勝 2年連続

東京国際ギターコンクール

昨日は第67回東京国際ギターコンクールにて、スペイン・バレンシアから来た18歳のAusiàs Parejo アウシアス・パレホくんが見事に優勝しました。昨年のスペインギター音楽コンクールに続き優勝を持っていってしまいました。。

スペイン人で日本のコンクールで優勝と言うのは日本のギターコンクール史上初めてのことではないでしょうか。しかも2年連続…

これにはいろいろな理由が考えられます。例えば日本は少し遠い、日本にわざわざ来ずともヨーロッパでコンクールが充実している、声をかける人がいないなど…

そのような理由があろうとも今まで表向きでもスペイン大使館にバックアップされた国際コンクールでスペイン人が出ていない?もしくは入賞していないということも何だか味気ないので、もう一歩前へ進んでほしいという気持ちもありました。

昨年から日本のコンクールで優勝を遂げた彼の偉業はスペイン国内でも多く知れ渡ることと思います。彼のおかげで日本のギターコンクールもやっとスペインと日本の架け橋になれたのでしょうか…彼は来年優勝記念日本ツアーをすることと思いますので本当に素晴らしいことです。ぜひ行ってあげてほしいです。

彼との出会いは5年ほど前に彼のお父様であるルベン・パレホが主催するバレンシアのギターフェスティバルにゲストで呼んでいただき、その時に会ったのが最初と思います。その時はまだ幼い少年で、少しレッスンもさせていただきましたが、世に出るのはまだまだ先と思っていました。それがコロナ禍で私も父が亡くなったり混乱する生活のなかで、ふと彼がヨーロッパの主要コンクールで次々と優勝や入賞を重ねていることを知りました。

昨年のスペインギター音楽コンクールは記念すべき50周年というイベントで、当時私は会長代理と言う立場であったため、彼のような若い有望な人が来てくれたら盛り上がるのではないかと思ったのです。ただやはり、初めての日本への旅は気安く来られる状況ではなく、何度も家族会議を重ねてやっと来られた状況でした。しかも日本に到着した時、彼は酷い風邪を引いていたのです。心配する状況でしたが、きちんと結果を出して颯爽と帰っていく彼に感心したものでした。その時にすでに東京国際にもチャレンジしたいと言っていましたので、まさか今年?とは思いましたが、今回も無事に来日しました。ですが今度はスーツケースをロストして日本に届かなかったのです。大事なコンクールに挑戦するというのに、何か試練が彼には降りかかります。私や彼の友だちが買い物をサポートしましたが、結局本番は彼はスーツ(慣れた衣装)を着ることができませんでした。それでも心配しないでと動じない強さがありました。18歳にして旅にもコンクールにも慣れたものです。

それにしてもまさか本当に東京国際でも初めての挑戦で優勝してしまうとは。。ほんの数ヶ月前に起こったバレンシアでの洪水災害で、彼の住む地域は無事だったようなのですが、彼はいくつかのコンサートが延期になり、ギターどころではなくなり、ボランティアに出て行き、泥でぐちゃぐちゃになった靴の写真を見ました。そんな故郷を思う気持ちが昨日の同郷の作曲家アセンシオの作品にも表れていたと思います。色彩感とリズム感、和声変化の巧妙な表現…これぞバレンシア音楽なのだと聴かせてくれた彼の演奏は本当に素晴らしかったです。そして猿谷紀郎先生もお褒めいただいたように、あの難しい課題曲で輪郭をはっきり出し、こういう曲なのだという説得力を持った演奏をしたと思います。彼の演奏スタイルにあの課題曲は合っていました。

ともかくも日本でもいろいろな人のサポートを受け環境を整えるところも実力のうちなのだと、彼を見ていて思わされました。写真はバレンシアでも彼が幼い頃(というか生まれた時?)からサポートされている渡辺さん。昨日は一緒に祝杯できました。

まだ18歳ですので若さ溢れる演奏、これからどのような深みのある演奏になるかは彼の生き方次第と思います。これからも東京の母のように見守って行きたいと思います。というかこれからは私の方が教わりたいことが増えるかも…

最後になりますが、コンクール運営に携われたスタッフの皆様には本当に感謝です。夜おそくまで終日大変お疲れ様でした☺️

2024.12.9 Instagramより

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